2020年7月10日から法務局で自筆証書遺言を預かってもらえる自筆証書遺言書保管制度が始まりました。これにより、方式の不備で無効になることが避けられたり、遺言者の死後に行う検認(家庭裁判所で行う遺言書の偽造・変造防止手続き(民法1004条))が不要になったりするなど、相続人の負担が軽減されるようになりました。
遺言の種類
1、自筆証書遺言
自筆証書遺言とは、遺言の内容と記載した年月日を自筆(手書き)し、署名・押印をする方法で作成する遺言のことです。財産目録については、本文とは別にパソコンでの作成や通帳コピーの添付などが認められるようになりました。但し、全てのページについて本文同様に署名・押印が必要です。全文を手書きしなければならず、方式の不備により無効になるおそれがあったり、遺言書が発見されない場合があります。
2、公正証書遺言
公正証書遺言とは、公証人役場に出向き、証人2名以上立ち会いのもとで作成する遺言書です。遺言者は、口頭で内容を公証人に伝え、公証人がその内容を書き、本人と証人の確認を得た上で、公証役場で保管されます。内容や形式的に無効となるおそれがなく、紛失のリスクや一部の相続人による改ざんリスクがなく、検認の手間もかかりません。但し、公証人に支払う手数料や証人の選定の手間や報酬の支払いが発生します。
3、秘密証書遺言
秘密証書遺言とは、内容をワープロや代筆で書くことも可能で、自署・押印した上で公証役場に持ち込み、公証人と証人2名の立ち会いのもとで、公証役場に保管してもらう方式です。その為、紛失や改ざんのおそれがありません。最低限の書く力しか残っていない方も、代筆で作成できる余地があります。内容は秘密にされる為、公証人によるチェックはありませんので、内容面や形式の不備から無効となるおそれがあります。公証人に支払う手数料や、証人の選定の手間やコストがかかるほか、秘密証書遺言も家庭裁判所での検認が必要となるため、相続人に手間とコストが発生します。
遺言書の作成や保管手続き・ご相談は、シティ司法書士事務所までお問い合わせください。