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会社法違反事件(選任懈怠・登記懈怠)について

会社法上、登記事項に変更が生じた場合は2週間以内に登記をしなければなりません(会社法第915条1項)。 会社の登記事項に変更が生じたにも関わらず、登記をせずにそのまま放置していると代表者個人に対し100万円以下の過料(罰金のようなもの)が科される場合があります。

登記の義務の必要性

全部事項証明書に取引上重要な情報を登記することにより、取引相手の安全を保護しています。情報が古いことが原因で、取引の相手方に被害や混乱を与えることを未然に防ぐ為、登記事項に変更が生じた場合には、登記する義務が代表者には課されています。

しかし、実際は法人の代表者の多くは、登記に「義務」があることを知らない人が多く、登記の専門家ではない会計事務所などで会社設立をした場合には、そのような変更登記が必要であることを通知されずに過料となってしまう会社が多く見受けられます。

過料の基準と対象

この過料は100万円以下と決まっているのですが、登記種類ごとの金額や期限をどのくらい過ぎたらいくらの過料が発生するのかなどの明確な基準はありません。数年間放置していても過料が課されない場合もあれば、1年未満でも過料が課される場合まで、様々なケースがあるようです。

過料については100万円を満額で課されるケースは殆ど無く、数万〜10万円程度が中心となり、懈怠期間に応じて裁判所が金額を決定します。

当事務所でご依頼頂いたお客様の例として、10年で役員任期が満了となり役員変更登記が必要ということを知らなかったお客様で、5年間の懈怠で5万円の過料が課された方がいらっしゃいました。(※お客様の承諾を得て通知書の画像を掲載しております。)

(例)実際の過料決定の通知書

過料に対する異議申立て

裁判所の決定に対し、書面を受け取った日から1週間以内に「異議の申立て」を行うことが可能とはなっておりますが、現実的にはこの決定を覆すことはほぼ不可能です。法人の代表者である以上、知らなかったという理由ではこの決定を覆す理由にはなりません。

過料で前科は付かない

この過料は刑事罰ではありませんので、前科が付くことはありません。代表者個人への過料となり、会社に課されるものではありません。過料は速やかに納付し、今後の任期や変更登記には十分注意しましょう。(※お客様の承諾を得て納付告知書の画像を掲載しております。)

(例)実際の納付告知書

登記変更の手続き、商業登記に関する手続き・ご相談は、シティ司法書士事務所までお問い合わせください。