令和4年1月31日から法人設立後の継続的な実質的支配者の把握についての取組の一つとして、実質的支配者リスト制度が創設されました。
公的機関において法人の実質的支配者(※)に関する情報を把握することについては、法人の透明性を向上させ、マネーロンダリングやテロ資金供与の防止等の目的による法人の悪用を防止する観点から、FATF(金融活動作業部会)の勧告や金融機関からの要望や国内外の要請が高まり運用されることになりました。
実質的支配者とは?
法人の議決権の総数の4分の1を超える議決権を直接又は間接に有していると認められる自然人等をいいます(犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成19年法律第22号。以下「犯収法」といいます。)第4条第1項第4号及び犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則(平成20年内閣府・総務省・法務省・財務省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省令第1号(以下「犯収法施行規則」といいます。)第11条第2項参照)。
制度の概要
この制度は、資本多数決法人である株式会社(特例有限会社を含む)が利用することができ、その法人の申出により、商業登記所の登記官が当該株式会社が作成した実質的支配者リスト(※)について、所定の添付書面により内容を確認した上でこれを保管し、登記官の認証文付きの写しの交付を行うものです。この制度は無料で利用することができ、郵送による申出も可能です。
※ 実質的支配者リスト(実質的支配者情報一覧)とは、実質的支配者について、その要件である議決権の保有に関する情報を記載した書面をいいます。
対象外は?
株式会社(特例有限会社を含む)以外の資本多数決法人(犯収法施行規則第11条第2項参照)、資本多数決法人以外の法人(持分会社や一般社団法人、一般財団法人等)は対象外となります。
実質的支配者リストを使用する場面は?
主に金融機関等の利用が想定されています。銀行などの金融機関は、なりすましや偽りなどの疑いがもたれる取引について、申告された実質的支配者と顧客等の関係を確認することが義務付けられている為です。(法第4条第2項)。
そのため、実質的支配者リストについては、こうした金融機関への会社からの申告書類として用いることや実施的支配者を確認する為の手段として利用されることが想定されています。
会社経営するにあたっては、金融機関との取引は避けて通ることはできず、会社経営者としては実質支配者リスト制度について理解しておくことは必須といえます。自社に実質支配者に該当する者がいるかを確認し、該当する者がいる場合には、制度の利用を検討することをお勧め致します。
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